Simple UPnP Server の使い方・活用例
Simple UPnP Server は、Android 端末内の写真・音楽・動画をネットワーク上で共有するためのアプリです。ここでは、基本的な使い方から応用的な活用方法までをご紹介します。
1. 基本編:メディアサーバーとして使う
最も標準的な使い方です。スマホをメディアサーバー(DMS)として動作させ、他のデバイスからスマホ内のファイルを参照・再生します。
スマートテレビで見る
Android TV、VIERA、REGZA、BRAVIA などのDLNA対応テレビで再生できます。
- アプリを起動し、サーバーをONにします。
- テレビの入力切替やホーム画面から「メディアプレーヤー」や「ネットワーク機器」などのアプリを開きます。
- サーバー一覧に本アプリのサーバーが表示されるので、選択して動画や写真をお楽しみください。表示される名前は設定の「デバイス名」に従います(新規インストール時の初期値はスマホ本体のデバイス名です)。
ゲーム機で見る
PlayStation 4 や Xbox などのゲーム機からも利用できます。
- PS4 の場合: 「メディアプレーヤー」アプリを開き、サーバー一覧から本アプリのサーバー(設定した「デバイス名」で表示されます)を選択して再生します。
- Xbox の場合: 「メディア プレーヤー」アプリから、ネットワーク上のメディアサーバーを参照して再生できます。
- PS5 について: PS5 には DLNA 対応の標準メディアプレーヤーがないため、そのままではネットワーク経由の再生はできません(DLNA に対応したサードパーティアプリの導入が必要です)。
💡 アプリ側での設定例
- 公開するフォルダを選ぶ: アプリの「設定」>「公開フォルダ」で「フォルダを追加…」をタップし、公開したいフォルダ(Movies や Music など)を追加します。
- 端末全体のメディアを共有する: 「端末内メディア(MediaStore)」の「内蔵コンテンツの表示」をオンにすると、Androidシステムが認識している写真や動画、音楽がすべて自動的に公開されます。
2. 応用編:キャスト機能を使う(スマホをリモコンにする)
スマホからネットワーク上のプレーヤー(DMR: Digital Media Renderer)を指定して、再生を指示する機能です。手元のスマホをリモコンのように使えます。
キャスト機能を利用するには、再生先の機器が「UPnP/DLNA のレンダラー(DMR)」として動作している必要があります。
- 一部のスマートテレビやネットワークオーディオ、AVアンプは標準でDMRとして動作します。
- Chromecast with Google TV や Fire TV のようにアプリを追加できる機器では、DMR として動作する受信アプリ(Kodi 等)をインストールして起動しておくことで利用できます。
- Google Cast 専用の機器(旧型の Chromecast など、アプリを追加できないモデル)は DMR として動作しないため、キャスト先にはできません。
Kodi を使った実例
強力なメディアセンターアプリである「Kodi」を DMR として利用する例です。Kodi の設定で [設定] > [サービス] > [UPnP/DLNA] から 「UPnP サポートを有効にする」 と 「UPnP を介したリモートコントロールを許可する」 をオンにしておきます。
実例 A: PC 上で Kodi を動作させる
Windows や Mac、Linux などの PC に Kodi をインストールしておけば、PCの画面とスピーカーを使ってスマホ内のメディアをキャスト再生できます。作業中の BGM 再生や、PCの大画面で動画を確認したい場合に便利です。
実例 B: Raspberry Pi で専用メディアプレーヤーを構築する
Raspberry Pi に LibreELEC や OSMC といった Kodi ベースの OS をインストールして、テレビに HDMI 接続します。 これにより、非常に低電力で常時稼働する「自作のキャスト受信機(スマートテレビ化)」が完成します。Simple UPnP Server から Raspberry Pi に向けて動画や音楽をキャストするだけで、すぐにテレビで再生が始まります。
💡 アプリ側での操作例
- 「ライブラリ」または「ファイル」タブ上部の再生先チップをタップし、ネットワーク上の再生先(Kodi やテレビなど)を選択します(「再検索」で同じ Wi-Fi 上のプレーヤーを探せます)。
- ラベルの再生ボタンをタップするとプレイリストとして連続再生、「ファイル」タブでファイルをタップすると 1 件ずつ再生できます。再生が始まると画面下部のミニプレイヤーがリモコンになり、スマホから一時停止やシーク(早送り・巻き戻し)などの操作が可能です。
3. 応用編:外部ストレージの活用
Android 端末の内部ストレージだけでなく、USBメモリや外付けSSD、SDカードなどの外部ストレージ内のファイルも共有できます。
💡 アプリ側での設定例
- 外部ストレージを Android 端末に接続します。
- Simple UPnP Server の「設定」>「公開フォルダ」で「フォルダを追加…」をタップします。
- Android のシステムファイルピッカーが開くので、接続した USB メモリや SD カードのフォルダを選択してアクセスを許可します。
- これにより、大容量の外部ストレージにある動画や音楽ライブラリも、ネットワーク経由で他の機器から再生できるようになります。
4. 応用編:自動化と便利機能
特定の Wi-Fi に繋がっている時だけサーバーを有効にする
- 自宅の Wi-Fi に接続した状態で、「設定」>「指定した Wi-Fi のみで有効」をオンにします。
- その下の「許可する Wi-Fi(UPnP)」にある「現在の Wi-Fi を追加」をタップし、いま接続中のネットワークを登録します。 ※以降、登録した Wi-Fi に接続している時だけメディアサーバーが有効になります。サーバー自体の自動起動(端末の起動時・アプリを開いた時)は「設定」の自動起動の項目で設定できます。
Tasker や MacroDroid との連携
自動化アプリ(Tasker や MacroDroid など)を使用すると、さらに複雑な条件でサーバーを制御できます。 これらのアプリからアプリの Intent アクションを呼び出すことで、サーバーの起動・停止・切り替えを自動化できます(アクション名はアプリ内ヘルプの「自動化」の項に記載されています。adb からも利用できます)。
- 例: 「端末を充電器に接続したときだけサーバーを ON にする」
- 例: 「特定の時間帯(夜間など)だけサーバーを停止する」
5. 詳細な機能解説
アプリをより深く使いこなすための、各機能の詳細な仕組みや使い方です。
共有方法の違い:端末内メディア(MediaStore)と公開フォルダ(SAF)
アプリには、ファイルを共有するための2つの異なるアプローチがあります。用途に合わせて使い分けや併用が可能です。
- 端末内メディア(MediaStore) — 設定の「内蔵コンテンツの表示」
- 特徴: AndroidOS が端末内をスキャンして認識している写真・動画・音楽のデータベースをそのまま公開します。
- メリット: フォルダの場所を意識することなく、端末内のすべてのメディアが「アルバム別」「アーティスト別」などで自動整理されて表示されます。
- 注意点: OSが認識していないファイル(特殊な拡張子や
.nomediaが置かれたフォルダ)は表示されません。
- 公開フォルダ(SAF: Storage Access Framework)
- 特徴: 「フォルダを追加…」から特定のフォルダを直接指定して公開します。
- メリット: 選択したフォルダ内のファイル構成(階層)がそのまま維持されて表示されます。OSがメディアとして認識していないファイルも共有可能です。外部ストレージの指定もこちらを使用します。
ラベル機能でファイルを整理する(仮想フォルダ)
ラベル機能を使うと、物理的なフォルダを移動することなく、ファイルを自由にグループ化して仮想的なフォルダとして公開できます。
- スマートラベル: 「名前に『旅行』が含まれる動画」といった検索条件を保存し、条件に一致するファイルを自動でまとめる動的なラベルです。
- 手動ラベル: 好きなファイルを手作業でピックアップして一つのラベルにまとめます(お気に入りリストやプレイリストのような使い方ができます)。
- フォルダラベル: 「新しいラベル」→「フォルダラベル」で公開フォルダを選ぶと、その中のメディア(サブフォルダを含む)が自動で集まり続けます。「サブフォルダごと」を選ぶと、フォルダ構成がそのままラベルの階層になります(外部ストレージのライブラリに便利です)。
- グループラベル: 既存のラベルをまとめて 1 つにし、並べた順に再生できます。ライブラリタブの「プリセット」からは、動画・写真・音楽・最近追加などの定番ラベルをワンタップで作成できます。
- 💡 階層化のテクニック: ラベル名に
/(スラッシュ)を含めることで、階層化(入れ子)が可能です。例えば2024/旅行と2024/イベントという2つのラベルを作成すると、プレーヤー側からは2024というフォルダの中に2つのフォルダがあるように美しく整理されて見えます。
連続再生(プレイリスト再生)の仕方
複数の動画や音楽を連続して再生したい場合は、以下の方法があります。
- ラベルやフォルダごとキャストする: ファイル単体ではなく、作成した「ラベル」の再生ボタンをタップすると、その中にあるメディアが順番に連続再生されます。「ファイル」タブのツリー表示では、フォルダを長押し(または再生ボタン)するとフォルダごと連続再生できます。
- プレーヤー側での連続再生: PCの VLC や Kodi など、プレイリスト機能を持つアプリからサーバーにアクセスしている場合は、フォルダごとプレイリストに追加することで連続再生が可能です。
アクセス履歴(メディア診断)を活用する
「アクセス履歴」画面では、ネットワーク上のどの機器が、いつ、どのファイルをリクエストしたかを確認できます。単なる履歴としてだけでなく、再生トラブル時の診断ツールとして役立ちます。
- 履歴の見方: リストにはアクセスされたファイル名と、リクエスト元の機器(テレビやPCのIPアドレス・識別名)が表示されます。
- 詳細の確認(診断機能): 履歴の項目をタップすると、そのファイルに対する実際のレスポンスの詳細が表示されます。
- 解決のヒント: 「なぜかテレビで再生できない」といった場合、この詳細画面を見ることで「テレビ側が要求したフォーマット(解像度やコーデック)」や「実際のファイル形式」を確認でき、再生互換性のヒントを得ることができます。
その他の便利な機能
- クイック設定パネル: Androidのステータスバーを上から引き下ろしたときに出る「クイック設定パネル」に、Simple UPnP Server のアイコンを追加できます。これにより、アプリを開かなくてもワンタップでサーバーのON/OFFが可能です。